議会報告(中間)

平成22年第33回与謝野町議会9月定例会の一般質問が9月9、10、13日の3日間の日程で行われました。本定例会では16名の議員から一般質問通告書が提出され、各質問に対して町政側からの答弁が行われました。私は9月9日に「教育理念及び政策を問う」「地域活性化策を問う」のふたつの質問案件を提出致しました。本投稿では私の「地域活性化策を問う」の質問の原稿の一部と、町長の答弁書を掲載しておきたいと思います。

『当町における地域活性化策を問う』

山添:私は4月以降、ふるさとである与謝・宮津を離れて都会で暮らす若者世代との交流を目的として、東京、京都、大阪で同郷会①を開催しています。参加者である彼ら/彼女らは高校までを当地域で過ごし、大学、専門学校等の進学を期に都会へ住んでそのまま就職しているような、周りを見渡せばどこにでもいる私世代の友人、皆様世代のお子さんやお孫さんでございます。

私はその同郷会を通して、これまで約50名の同郷人にお会いしお話をして参りましたが、彼ら/彼女ら50名中50名が遠く離れた場所にいながらも、ふるさとを想っていると答えてくれています。夏がくれば、同級生と踊った盆踊りを思い出し、冬がくれば、家族で聞いた除夜の鐘を思い出すそうです。そんなふるさとを離れたものの、いまも変わらず感情的なつながりを保ち続けている彼ら/彼女らは当地域の「潜在的な住民」なのではないでしょうか。
私は地域の活性化を考える際に、この「潜在住民②」へ地域の情報を的確に届けることで地域活性化の新たなる領野が拓けてくるのではないかと考えています。なぜなら、現代社会において、地域の活性化というのは、地域を巡る情報の活性化とほぼ同義だと考えるからです。まず地域を巡る情報が活性化し、その結果として、地域に対する注目が集まり、地域内外の人々が活動的になる。それは地域再生の前提です。この観点から捉えた時、潜在住民の活性化がもたらす価値は計り知る事ができません。彼ら/彼女らの中の潜在住民の部分が活発になるということは、遠く離れた彼ら/彼女らが地域について考えたり、話題にしたりすることを意味します。つまり、遠く離れたところで地域を話題にする「潜在住民」一人一人が地域にとっての「ソーシャルメディア」であると考えることができます。
更に、潜在住民と地域の結びつきは過去の経験に基づいているため、地域は一時的ではない、持続可能な関係を期待できます。「ソーシャルメディア」としての価値と同時に、潜在住民は消費者としての価値も持っています。心情的な結びつきは地域への頻繁な訪問や帰省につながるし、観光資源や特産品の消費にも直結します。また潜在住民は地域から離れているため、異なる視点を地域にもたらすことができます。町主導のまちづくり議論から観光地商店街の商品開発まで、その視点が地域にメリットをもたらす機会も少なくないでしょう。一方で、潜在住民の生活の基盤は別の場所にあるため、彼ら/彼女らを新たに組織化することは難しいと思われます。そのバランスをとり、潜在住民をうまく活性化することができれば、彼ら/彼女らの参画を得ることができるでしょう。そのための一歩目は、先程申し上げましたとおり地域からの適切な情報提供です。幸いなことに、インターネットをはじめとする通信手段の進歩はそうした方法を具現化するための様々なコストを劇的に引き下げています。
活性化と参画のループを繰り返し強化することで、人々は地域に潜在住民として例えば「ふるさと納税」することになるかもしれない。しかしあくまでもそれは地域再生のループの中の一つのプロセスにすぎません。「ふるさとを離れたものの、いまも変わらず感情的なつながりを保ち続けている潜在住民」はその地域の住民なんだという意識を行政側が持つ事が何よりも大切なことではないでしょうか。
以上、今後の地域活性化策を考えるうえで有効だと考える「潜在住民」というコンセプトのご説明とその潜在住民へ地域の情報を的確に届けることで地域活性化への新たなる領野が拓けてくるのではないかという主張をさせて頂きましたが、町長のご見解をお伺いいたします。
町長:与謝野町を離れられた方の地域活性化策への参画でございますが、丹後人会等の集まりにはご招待頂いていますので、出席をして、いろんな方からご意見を聞かせて頂き、情報収集に努めているところでございます。
以前に第1次与謝野町総合計画を策定しております中で、町内出身者の方からメールでまちづくりに対するご意見を頂いたことがありました。これは正に行政参画であり、ふるさとを思う気持ちの表れであったと思います。今は情報化の時代であり、ホームページ等を活用し町外へも様々な地域情報を発信していきたいと考えております。また希望者への「広報よさの」の配布も継続して実施しております。
平成20年度から「ふるさと納税」の制度がスタートしましたが、毎年多くの町内出身者の方々から「まちづくりのために」と篤い志のご寄付を頂いております③。これは地域活性化に期待した、行政参画の最たるものであると考えます。このような皆様方の意に添うように、住民の皆様と一緒に、地域活性化につながるようなまちづくりに取り組んでいきたいと考えております。

注①:http://www.yamazoetoma.com/blog/?p=133
注②:野村歩「地方活性化の鍵は”潜在住民”にあり」http://bit.ly/dh0vyi
注③:平成21年度ふるさと納税申し込み件数:11件