「民泊」事業

地球環境保護と健康な生活を最優先し、人類と地球が共存共栄できる持続可能なライフスタイルの提案を行う、月刊誌ソトコト12月号の総力特集は日本列島移住計画と題するもので、全国のお勧めエコターン地域やエコターンの成功と失敗例などの紹介で構成されています。本稿では、其誌で紹介されている長崎県・小値賀町が行う観光振興策として紹介されていた「民泊」について思うことを書き留めておきたいと思います。

小値賀町では2007年にNPO法人を立ち上げたことが転機となり、町を挙げての事業「民泊」が開始されました。島での民泊とは漁師さんや農家さんの民家へ滞在し、島暮らしを丸ごと体験することです。開始当時は島民から不安の声も聞かれたようでしたが、素朴な自然と人々の暮らしがあるだけの普通の島へ多数の若者が集まり、民泊を通して島民の方々との交流を活発化させています。そして、現在では年間の来島者は約1万人に達するようになったといいます。「古くは貿易港として栄えた歴史があるため、島には外からの人を受け入れるもてなしの心が根付いています。それが民泊を通して、人々の心に響くのだと思います。」との島民の方の言葉にあるように、この民泊を成功に導いているのは、なによりも、もてなしの心だと言えます。

先日、私が暮らす京都府北部に地場産業である織物工場見学が目的でベルギーから4名のお客様がお越しになられた際、地域のことを知ってもらう為、そして何よりも私たち自身が楽しむ為には自宅に滞在してもらうことが一番だと考え、私たちの自宅に民泊してもらいました。織物工場見学や観光地巡りをするだけではなく、最終日にはご近所さんや高校生が入れ替わり訪問してくれ、みんなで地酒や地魚を食べて唄い、大変楽しい送別会を開催することができました。

住人ひとりひとりが持つ小さな観光資源を堪能しながら、地域や地方自治体を知ることができる方法として「民泊」があるのかなと思っています。振興策として取り入れているところはまだまだ少ないので、もし民泊を体験してみたいと思われる方がいらっしゃれば、例えば友人のご実家へ週末遊びに行ってみることなどから、お気軽にはじめてみてはどうでしょうか。

あなたはもうひとつのふるさとを創ることになるかもしれません。