12月定例会を終えて

12月2日から開会した平成25年12月定例会はこれまでで一番印象的な議会となりました。有線テレビなどを通して、議会の動向に注目して頂いた住民の皆さんにとってもきっとそうだったのではないかと思います。

会期中に上程された議案は、行政からは各会計補正予算(可決)、債権管理条例(可決)や条例改正案(可決)、住民からは大型小売り店鋪の秩序ある町内進出に関する請願書(委員会へ付託)などが提案されました。そして、議会からは住民投票条例(委員会へ付託)、下水道分担金問題の徹底究明と再発根絶を求める決議(否決)、太田貴美町長に対する問責決議(可決)などが提案されました。

本定例会の大きな争点となった件、下水道分担金負担金の時効問題に端を発し、議員発議により提案された二つの議案、「下水道分担金問題の徹底究明と再発根絶を求める決議(否決)」「太田貴美町長に対する問責決議(可決)」の全文をご紹介しておきます。皆さんの考えを深める材料にしてもらえれば幸いです。

本件に関しては、下水道課を所管する産業建設常任委員会の委員として、昨年9月より深く関わってきました。そうしたなか、住民の不安感や不信感をここまで増幅させてしまった最大の原因は、「住民への信頼の欠如」だったのではないかと考えています。前者の決議案に「住民の混乱を避けたいという思いから、時効後の入金を議会に報告しなかった」とあります。 住民を信じているならば、どんなに複雑な事象であっても、事の顛末を明らかにし、説明を繰り返し、理解を得ようとしたはずです。

住民を信じず、説明責任を怠ったことは、非常に重たいものがあるとの考えのもと、私は後者の問責決議に賛成しました。

「下水道分担金問題の徹底究明と再発根絶を求める決議」

賛成6:反対11

本年7月の記者会見で明らかにした「下水道受益者分担金・負担金」など、2,670万円もの不納欠損を発生させた問題で、多くの住民から厳しい指摘や批判、そして住民監査請求まで出るという、かってない大変大きな不信が渦巻いている。その原因は、担当課職員が時効の認識が極めて希薄であったために、法的措置が行われずに時効を迎え、不納欠損を発生させたものである。

加えて、12月議会当日、全員協議会で町長から、時効が過ぎた後も「分担金」など223万円を受け取っていたことが報告された。その後の産業建設常任委員会では、その全容実態のまとめを行い、その結果を、今年4月末に、町長・副町長・担当課長・担当主幹の4人で協議し、住民の混乱を避けたいとの思いから、「時効後の入金」を議会に報告しなかったのである。この判断は、結果的には隠ぺいとも言える対応であり、いかなる理由があれ、断じて許されるものではない。

こうした町長、副町長、担当課長らの対応には、極めて重大な判断ミスがあり、住民のなっとくが得られないものである。とりわけ、「時効後の入金」の処理対応についての判断ミスは、住民からの信頼を重ねて裏切る結果となった。

町長は、その直後12月9日の本会議冒頭で、極めて重大な判断ミスであったことを認め、改めて「お詫びとともに再発防止」の表明をした。

したがって、与謝野町議会としては、町長はじめ全職員が、監査結果の内容を充分尊重され、深い自覚を共有し、従来からの行政体質を抜本的に改め、今後、原因の徹底究明と、町長が表明した再発防止と根絶に向け、全力を挙げることを求めるものである。同時に、法に基づき、住民の十二分な理解を得られるよう、信頼回復へ厳正かつ道理にかなう、徹底した情報公開の対応を、強く求めるものである。

「太田貴美町長に対する問責決議」

賛成10:反対7

旧町時代を含んで、今年5月に下水道受益者分担金・負担金の収納について、時効の認識が全くなかったということで、26,687千円にも及ぶ金額が時効消滅するという信じられないような事態に直面し、町民の中には行政不信と不公平感が充満している。

議会の中でも、これ以上の金額がないかと再三確認し、「今後は法令を遵守する」と約束されたにもかかわらず、今回、新たに住民監査請求の審査過程で、2,225千円が法的に受納できない時効後に納付されていたのに返還措置がとられていないとの報告を受けた。

しかも、原課の報告を受けながら議会に報告しないことを申し合わせるなど、組織ぐるみの隠ぺいの事実も判明した。

12月2日の全員協議会で町長からは、「結果的に虚偽の報告をしていたことをお詫びする」と陳謝されたが、陳謝の事象が多すぎるのも事実である。加えて、専決処分で報告された町職員による自動車事故にしても人身事故はないと報告しながら、事実は人身事故も起きていたという実態を把握するにつけ、いろんな局面で町議会を軽視、愚弄していると言わざるを得ず誠に遺憾である。

よって、今後このような事態が繰り返されることのないよう、太田町長をはじめとする職員が高い意識を持って再発防止の強化を図り、組織をあげて法令順守の確立に努め、信頼回復に向けて取り組むよう強く求めると同時に、太田貴美町長に猛省を促し、その責任を強く問うものである。