平成24年9月定例会における一般質問

<<<質問内容>>>

平成24年9月定例会における一般質問をおこないます。私は「庁舎統合の前にやるべき3つのこと」「予算編成過程の公表について」の2件につき事前通告していますので、答弁の程よろしくお願い致します。

一件目は、「庁舎統合の前にやるべき3つのこと」についてです。
昨年5月28日、野田川わーくぱるにおいて「庁舎統合説明会」が開催され、進む職員削減、交付税の段階的措置、利用者が複数の庁舎を訪問など、7つの必要性をその根拠として、岩滝庁舎を本庁舎とする分庁舎方式から加悦庁舎を本庁舎とする総合庁舎方式へ移行するという町長案が示されました。今後の予定として、住民の合意形成を図るように努力し、しかるべき時期に「与謝野町役場の位置を定める条例」の改正案を提案し、議会の承認のうえは、平成24年度に庁舎改修にかかる設計費用等の関連予算を計上、平成25年度に庁舎改修工事に着手することを目標に計画案を進めていくと公表をされました。以降、本件については、平成23年度町政懇談会、庁舎問題特別委員会、庁舎統合検討委員会などにおいて、様々な角度から活発な議論が展開され、その解決策が模索されてきました。
「町長の私的諮問機関とし、町はその結論を重視します」などの基本事項を定めて設置された庁舎統合検討委員会では、一月末から現在に至るまでに計7回の委員会が開催され、普通交付税・財政見通し、職員数の今後の推移、各課の受付業務内容調査、地域振興課の主な業務、各庁舎の組織・職員配置図など、幅広い項目について検討を重ねられています。今月末には、「野田川庁舎の本館は耐用年数と耐震性を考え、早急に閉鎖すること」を前提に、①加悦庁舎を総合庁舎とし、他2庁舎に窓口サービスを置くとする町の案②一つの庁舎を総合庁舎として概ねの町長部局を集約し、残る2庁舎に教育部局や上下水道部局など別の部局をおいて、総合庁舎以外の2庁舎にも機能を分散させ、総合庁舎を補完するとする総合庁舎補完案③現状のままとする案④現状のままとし、将来的に町の中心地に新庁舎を建設するとする案⑤現状のままとし、職員数等の状況を勘案し、現在の1庁舎で収容可能となった時期に総合庁舎化を図る案、5つの案が提示され各委員に意見が求められる段階に入っています。

多くの与謝野町民がそうであるように、私も本件については熟慮を重ねてきたひとりです。そしていま、庁舎統合検討委員会で示された5つの案のなかでは、「現状のままとし、職員数等の状況を勘案し、現在の1庁舎で収容可能となった時期に総合庁舎化を図る案」を支持する立場に立ち、そのうえで、「庁舎統合の前にやるべき3つのことがある」という結論に至っています。

1つ目は、「大きな地域社会づくり」です。大きな地域社会とは、地域の社会的課題を解決し、自分自身の生活や地域の改善を行うために、子ども・若者・女性なども含めたより多くの人々が協力し合う社会であると言えます。昨年度に開催された町政懇談会の記録などには、庁舎が統合されることで生じる不安についての言及が多く見られます。例えば、消防団・自治消防の体制についての不安、交通手段を持たない生活弱者の方の不安、行政サービスが低下するという不安、です。このように多くの住民の方が抱く不安を解消していくには、行政にその役割を期待するのではなく、住民自らが議論し、解決策を見いだし、実行していくことが必要だと思います。
私は、大きな地域社会の実現を目指し、自治区や隣組のような既存の組織だけでなく、より多様でより多くの住民がまちづくりに主体的に関わることができる住民自治の契機づくりの場を新しく創設する必要があると考えます。それが、予算提案措置制度を持つまちづくり委員会です。私が想定するまちづくり委員会は、中学校区を単位として、地域内で様々なテーマに基づき活動する団体や個人が自主的に集い、地域内における課題やまちづくりに関して、議論と合意により町に予算を提案することができる組織です。
2つ目は、「小さな役場づくり」です。小さな役場とは、行政機能と予算規模が縮小したよりコンパクトな役場体制であると言えます。合併市町村である当町は、合併後10年間は普通交付税を合併算定替による交付税を受けることができますが、平成28年度からは段階的に合併算定替による増加額が減少し、平成33年には一本算定へ移行することになり、交付税の減額分は約12億円になると試算されています。このような今後の財政状況を考慮するならば、当町のように自主財源に乏しく交付税などの依存財源に頼らざるを得ない地方公共団体が取るべき方策はひとつ、行政機能と予算規模の縮小です。庁舎問題を考える際にも、この行財政改革をどのように進めていくかによって、私たちが求める庁舎の規模は変わってくると思います。
私は、小さな役場づくりを実現するには、徹底した住民ニーズの把握をしていく必要があると考えます。その方法のひとつが、パブリックコメント制度による行政機能と予算規模縮小案の立案です。
3つ目は、「野田川庁舎の早急な対応」です。野田川庁舎は老朽化しており耐震化もしていないことから、庁舎内に配置されている住民環境課・野田川地域振興課及び税務課については各庁舎へ再配置をし、2・5庁舎方式へ早急に移行していく必要があると考えます。
以上、庁舎統合する前にやるべき3つのこと及びそれぞれに対応する提案をさせて頂きました。見解をお伺いします。

二件目は、「予算編成過程の公表」についてです。
昨年度から「予算編成過程の公開」を主張し質疑を重ねてきました。なぜならば、地方自治体にとって予算編成は最大の意思決定であるだけに、その過程についても透明性と住民参画が担保された制度設計であるべきだと考えるからです。
全国の地方公共団体は新年度に向けて、前年度10月から翌年3月までの期間、予算編成作業をおこないます。その一般的な過程は、①予算編成方針の通知②予算要求書の作成及び提出③財政担当課によるヒアリング④財政担当課長査定⑤首長査定⑥予算案公表⑦議会上程・議案審議・議決、を経ます。これを見ると、予算編成は大きく3つの段階に分けることができます。①予算編成方針段階②予算要求書の作成・提出段階③予算査定段階、です。私が特に注目しているのは「予算査定段階」についてです。
昨年度の一般質問のなかで、予算編成過程の公開は、予算を議会に提案する前に公開することにつながり議決権を阻害する恐れがあること。各分野の予算は各種団体や事業者、個人などの利害当事者にも少なからず関わりがあることなので、声の大小や個人の特定意見に左右される恐れや予算の争奪につながる恐れがあることを理由に限りがあると答弁を頂いています。
今回の提案は、3月定例会初日に、予算編成過程における各課の「予算要求と査定結果」及び各課別の「主要施策の予算要求と査定状況」について公表していくべきというものであり、危惧されている2つの問題点についても回避できるものになっていると思います。
以上が「予算編成過程の公表について」の提案です。見解をお伺い致します。

<<<答弁内容>>>

山添議員ご質問の1番目「庁舎統合の前にやるべき3つのこと」の中で、ご提案をいただきましたので、お答えいたします。

1点目の「予算措置提案制度をもつ(仮称)まちづくり委員会の創設・地域担当職員の配置」をしてはとのご提案ですが、現在、総合計画審議会におきまして、後期基本計画を策定中でございます。
合併当時に策定しました前期基本計画を見直し策定するものですが、「第6章 協働で進めるまちづくり」の中で、「既存の地域コミュニティを活かしつつ、本町の大きな枠組みの中で連携を図り、まちづくりを進めるため、地域協議会(仮称)の設立を図る必要があります。」と前期計画では計画しておりました。
この(仮称)地域協議会が、名称は異なりますが、今回議員が提案されます人々が協力し合って地域社会を構築する「まちづくり委員会の創設」と同じ趣旨のものではないかと思っております。現在の後期基本計画策定の協議では、この地域協議会の設立は不用であるとのご意見から、計画から削除し、自治区あるいは地区公民館組織の強化や行政との連携により地域コミュニティの推進を図るものとしております。
合併から6年以上が経過し、現状では各自治区が区長さんを先頭に区役員さん等のきっちりとした体制の下に頑張っていただいており、行政との関係はうまく機能し、住民自治は確立されてきているとの思いから、総合計画策定委員会の委員さんも、あえてそのような地域協議会を設ける必要はないとのご判断によるものと思っております。町としましてもそのような考え方をしておりますので、議員ご提案の「まちづくり委員会の創設並びに地域担当職員の配置」につきましては、そのような考え方を致しておりません。各区からのご要望やご意見は、今までどおり区長さんを通じてお聞かせいただき、限られた予算の範囲内ではありますが、それらに少しでもお応えする形で対応していきたいと考えております。
2点目の「パブリックコメント制度を使用した役場機能及び予算規模縮小案の立案」についてのご提案ですが、ご承知のとおり、現在、庁舎統合検討委員会におきまして、今後の役場機能のあり方など、幅広くご検討をいただいているところでございまして、、役場機能の見直し、機構の改革等につきましては、その答申を尊重しながら検討して参りたいと考えており、議員ご提案のパブリックコメント制度の使用までは現在のところ考えておりません。また、次の3点目の「2.5庁舎方式への早期移行」とのご提案にも関連しますので合わせて申し上げますと、野田川庁舎の本館につきましては、昭和37年に建設され丁度50年を経過することとなります。
耐震性を考える以前にコンクリート構造物自体の耐用年数が到来しておりますので、住民の方々はもちろんのこと、職員の安全性にも考慮し、これは早い時期に閉鎖し倉庫等としての活用にすべきとの考えをもっておりますが、閉鎖に伴い課の移動等を伴いますので、その対応策につきましては、庁舎統合検討委員会の答申を踏まえ対応していきたいと考えております。どちらにいたしましても、野田川庁舎本館は閉鎖していく方向になろうかと思いますので、庁舎機能の集約につながるという面では、議員ご提案のコンパクトな役場づくりに資することができ、予算規模の縮小にも効果があるものと思っております。なお、移行する場合の予算の試算ということですが、対応策によって大きく変わってきますので、そのような試算は方向性を出す時期に合わせて行っていきたいと考えております。

2番目の「予算編成過程の公表について」のご質問にお答えいたします。
「予算編成過程における各課の予算要求と査定結果及び各課別の主要施策の予算要求と査定状況の公表」を、公表日は3月定例会初日に、とのご提案ですが、平成23年12月定例会の一般質問でも同じようなご質問をいただき、私の考え方はお答えさせていただいており、考え方は今でも変わっておりません。
従って、同じお答えになりますが、私の考え方は予算編成過程においての査定結果や査定状況の公表を行うことは、むしろ問題があるのではないかと考えております。その理由と致しましては、予算は議会に提案することで初めて明らかにし、そこで様々なご議論をいただき議決いただくことが基本であると考えており、提案する前に公開してしまうことは、議会の議決権を侵害する恐れがあり、問題があると考えております。
そこで、公表日が3月定例会初日であれば、その問題は解消されるとのお考えだと思いますが、一方で、予算の中身は、各種団体や事業者、個人などの利害関係に関わりが出てくることですので、個人の特定意見に左右されることなく、公平性を保つためには一定の制約も必要ではないかと考えております。
従いまして、議会に提出をさせていただいた以降においても、議員ご提案の予算編成過程の公表につきましては考えておりませんが、これまでから全くお見せしないといった考え方ではなく、お求めがあった場合は、査定の経過等をお見せすることを拒むものではありませんので、これまで同様に一定の透明性は確保されていると思っております。また、広報広聴機会の充実や総合計画実施計画の策定審議、日頃から住民の皆様の声に耳を傾けることを通じて、一定の住民参画も担保できているものと思っております。
いずれにしましても、財政見通しをたてながら、持続可能なまちづくりを進めるために、「見込める収入の範囲内で予算をたてていくこと」を基本に据えて財政運営を行って参りたいと考えております。
以上で、山添議員への答弁とさせていただきます。